フリーランスは複数案件をどう管理する?納期・タスク・請求まで一人で回す方法

フリーランスとして仕事が増えてくると、「仕事がない」とは別の悩みが出てきます。

複数の納期が重なる。
クライアントからの確認待ちが増える。
突然、修正が戻ってくる。
納品したのに、まだ請求していない案件がある。
新しい依頼が来ても、受けて大丈夫なのか判断しにくい。

こうした問題は、タスク管理ツールに「今日やること」を並べるだけでは解決できないことがあります。

なぜなら、フリーランスが管理する必要があるのは、目の前のタスクだけではないからです。

一つの案件でも、

受注
↓
作業
↓
クライアント確認待ち
↓
修正
↓
納品
↓
請求
↓
入金

という流れで進みます。

つまり、「作業が終わった」だけでは、案件そのものはまだ終わっていないことがあります。

フリーランスが複数案件を無理なく管理するには、今どんな案件を抱えていて、それぞれがどの状態にあり、自分はいつ動くのかを見えるようにすることが大切です。

加えて、案件ごとの工数や請求・入金状況まで把握できれば、「新しい仕事を受けても大丈夫か」も判断しやすくなります。

この記事では、仕事をたくさん詰め込むためではなく、複数案件を抱えても仕事と生活を破綻させずに、納期・タスク・請求まで一人で管理する方法を解説します。

    フリーランスのタスク管理と案件管理は同じではない

    まず分けて考えたいのが、「タスク管理」と「案件管理」です。

    タスク管理は、次に自分が何をするかを管理するもの。
    案件管理は、その仕事が今どの状態にあるかを管理するものです。

    たとえば、記事制作案件で原稿を提出したとします。

    「執筆」というタスクは完了しているため、その時点では自分がする作業はないかもしれません。

    しかし案件全体では、

    • クライアントの確認待ち
    • 修正対応
    • 最終納品
    • 請求
    • 入金確認

    が残っているケースも多いでしょう。

    そのため、今日やることがなくても、

    • 着手前
    • 作業中
    • 確認待ち
    • 修正待ち
    • 納品済み
    • 請求待ち
    • 入金待ち

    など、完全には終わっていない案件は管理対象として残しておきます。

    もちろん、案件の状態は仕事内容によって変えて構いません。

    Web制作なら「デザイン確認待ち」「公開待ち」、取材案件なら「取材日程調整中」などが必要になることもあります。

    大切なのは、「今は自分が動いていない=案件が終わった」ではないと考えることです。

    複数案件を管理するなら、「今日やるタスク」だけではなく、「案件全体が今どこまで進んでいるか」も把握する必要があります。

    複数案件は、まず一か所で一覧管理する

    フリーランスが複数案件を管理するとき、最初から複雑なシステムを作る必要はありません。

    まずは、今抱えている案件を一か所で一覧できる場所を作ります。

    たとえば、管理する項目は次のようなものです。

    • クライアント
    • 案件内容
    • 納期
    • 自分が対応する予定日
    • 現在の状態
    • 次にすること
    • 報酬
    • 請求・入金状況

    すべての項目が全員に必要なわけではありません。

    大切なのは、自分の仕事で「これが分からなくなると困る」という情報を一か所に集めることです。

    筆者は、長くGoogleスプレッドシートで複数案件を管理してきました。

    案件ごとに一行を使い、クライアント名や納期、対応予定日を記録し、現在の状態はドロップダウンで選べるようにしています。
    また、進行中や請求待ちなど、まだ完了していない案件は状態に応じて背景色を変え、すべて終わった案件は色を外します。

    こうすることで、一覧を開いたときに「今どの案件が残っているのか」が一目で判断できます。

    もちろん、これはあくまで一つの管理方法です。

    スプレッドシートを使うこと自体よりも、見た瞬間に状況を判断できる自分なりのルールを作ることの方が重要です。

    管理表を見るたびに「これはどういう意味だったっけ?」と考えるようでは、管理そのものが新しい仕事になってしまいます。

    納期と「自分が作業する日」は分けて管理する

    複数案件のスケジュール管理では、クライアントとの納期と自分が実際に作業する予定日を分けて管理すると整理しやすくなります。

    納期だけを一覧にしていると、「まだ締切まで時間がある」と考えがちです。
    しかし、同じ週に複数案件の納期が重なっていれば、締切当日にすべて対応することはできません。

    たとえば、金曜日が納期なら、水曜日に作業を終える予定にしておく。

    そのうえで、ほかの案件との兼ね合いを見ながら対応予定日を調整します。

    筆者も、納期とは別に対応予定日を設定し、その日付を基準に案件を並べ替えて確認しています。

    こうすると、「いつまでに終わればいいか」だけではなく、実際にいつ手を動かすのかまで見えます。

    予定どおりに進まなければ、ほかの案件も含めて対応日を組み直します。

    フリーランスが複数案件を管理するなら、納期だけを見るのではなく、納期までに必要な作業をいつ配置するかまで考えることが重要です。

    案件数ではなく、実際にかかる工数で仕事量を見る

    複数案件を抱えているとき、「今何件持っているか」だけでは実際の仕事量は分かりません。

    同じ一件でも、

    • 内容をよく知っている継続案件
    • 初めて取引するクライアント
    • 修正が少ない仕事
    • 確認や連絡が多い仕事
    • 短時間で終わる仕事
    • 調査や準備に時間がかかる仕事

    では、負荷が大きく異なります。

    何度も担当している継続案件なら、「このクライアントのこの内容なら、だいたいこのくらい」と必要な工数を予測できるでしょう。

    一方、新規案件は、実際に進めてみるまで分からないことが多くあります。
    指示資料を読む時間、確認事項の多さ、連絡の往復、修正の進め方などは、最初から正確に予測するのは難しいはずです。

    そのため、新規案件は慣れている案件より少し余裕を持って予定を組んだ方が安全です。

    筆者も、クライアントや仕事内容ごとの過去の実績から、おおよその工数を考えて予定を入れています。

    すでに一日の仕事量が多いと分かっていれば、予定表に空きがあるように見えても、新しい案件は入れません。

    「何件あるか」ではなく、「どれくらい重い仕事が入っているか」まで見ること。

    これが、フリーランスが案件を抱えすぎず、納期を確実に守るためのポイントです。

    継続案件は工数を読みやすくなる一方で、すべての案件を残し続ける必要はありません。継続しやすい案件の特徴や、残す案件をどう見極めるかは別記事で整理しています。

    メールやチャットが分かれていても、案件を見る場所は一つにする

    複数のクライアントと仕事をしていると、連絡方法が一つにそろうとは限りません。

    メールを使うクライアントもいれば、SlackやChatworkなどのチャットツールを使うクライアントもいます。

    打ち合わせの中で、次の対応が決まる案件もあるでしょう。

    相手がいる以上、自分の都合ですべての連絡手段を一つにまとめることは難しいものです。

    そこで意識したいのが、連絡場所ではなく、案件の状態を見る場所を一つにすることです。

    たとえば、クライアントから連絡が来て「次は自分が対応する」と決まったら、案件一覧の状態や対応予定日を更新します。
    反対に、納品して「先方確認待ち」になったら、その状態へ変更します。

    連絡そのものを一か所に集めるのではなく、連絡によって変わった案件の状態を、いつもの管理場所へ戻すイメージです。

    こうしておけば、複数のメールやチャットを見ながら、「何か忘れていなかったかな」と毎回思い出す負担を減らせます。

    フリーランスの案件管理は請求・入金確認まで行う

    フリーランスの案件管理は、納品したら終わりではありません。

    請求が必要な案件なら請求まで、その後は入金確認まで管理します。

    フリーランスへの業務委託について、公正取引委員会は、取引条件として報酬額や支払期日などを明示するルールを案内しています。

    参考:公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」

    フリーランス側でも、

    • いつ請求したか
    • 支払期日はいつか
    • 実際に入金されたか

    を確認できるようにしておくと安心です。

    筆者も案件の状態に「請求待ち」などを設け、請求まで終わるまでは未完了の案件として分かるようにしています。

    つまり、「納品済み」と「案件完了」は必ずしも同じではありません。
    納品後に請求が必要なら請求まで、さらに入金確認が必要ならそこまで追えるようにしておきます。

    請求したからといって、必ず予定どおり入金されるとは限りません。筆者自身が実際に入金漏れを経験して見直した確認方法については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

    案件一覧を「新しい仕事を受けるか」の判断にも使う

    ここまで紹介した、

    • 対応予定日
    • 案件の状態
    • 案件ごとの工数
    • 確認待ちや修正待ち
    • 請求・入金状況

    を一覧で把握できるようになると、案件管理は単なる抜け漏れ防止のためではなく、新しい仕事を受けて良いか判断するための材料にもなります。

    新しい依頼が来たとき、「その納期なら空いている」という理由だけで受けると、あとから苦しくなってしまうケースは少なくありません。

    新規で案件を受注する際、確認したいのは以下のようなポイントです。

    • その前後にどのくらい作業予定が入っているか
    • 修正や確認待ちの案件がどのくらい残っているか
    • 工数を予測しやすい案件か
    • 突発的な対応が入っても動けるか
    • 休みまで仕事で埋めることにならないか

    筆者も以前は、対応可能な量ギリギリまで仕事を詰め込み、一日に複数本の原稿を進めるような働き方をしていました。

    しかし現在は、案件一覧を見てその日の仕事量が多いと判断したら、そこには新しい案件を入れません。

    管理できるから仕事を増やす。
    効率化できたから、空いた時間にさらに仕事を入れる。

    それを続ければ、処理できる仕事量は増えるかもしれません。
    ただ、管理できることと、その仕事量で働き続けたいかは別です。

    複数案件を管理する目的には、「まだ受けられる」と判断することだけではなく、「今回は受けない」「自分の余裕を残しておく」と判断することも含まれます。

    フリーランスの案件管理ツールは「何を管理したいか」で選ぶ

    フリーランスの案件管理には、スプレッドシート、カレンダー、タスク管理ツール、案件管理ツールなど、さまざまな方法があります。

    ただし、最初から「おすすめの案件管理ツールはどれか」と考える必要はありません。

    まず整理したいのは、「自分は何が分からなくなって困っているのか」ということです。

    たとえば、

    • 納期を忘れる → 納期を一覧化する
    • 今日やることが分からない → 対応予定日や次のタスクを管理する
    • 確認待ちを忘れる → 案件の状態を管理する
    • 請求漏れが怖い → 請求・入金状況を管理する
    • 案件を受けすぎる → 工数や対応予定を見えるようにする

    というように、困っていることによって必要な機能は変わります。

    最初は、

    • 案件名
    • 納期
    • 対応予定日
    • 現在の状態
    • 次にすること
    • 請求・入金状況

    程度を一覧にするだけでも構いません。

    そのうえで、「もっと自動化したい」「複数の画面を見るのが大変」と感じたら、必要な機能を持つツールを検討すれば十分です。

    高機能なシステムを使うことよりも、自分が開いたときに仕事の全体像を把握できることを優先しましょう。

    複数案件管理の目的は、たくさん仕事を抱えることではない

    複数のクライアントと仕事をすることには、収入源や取引先を分散できる面があります。

    一方で、案件が増えれば、

    • 連絡する相手が増える
    • 納期が増える
    • 確認待ちや修正対応が増える
    • 頭を切り替える回数が増える

    など、管理するもの自体も増えていきます。

    だからこそ、フリーランスの複数案件管理で目指したいのは、もっと多くの案件を回せる人になることではありません。

    自分が抱えている仕事を把握する。
    次に何をするべきか分かる。
    いつ作業するのか決められる。
    請求や入金まで追える。
    そして、新しい仕事を受ける余力があるか判断できる。

    そんな状態を作ることが大切です。

    管理表の空白を、すべて仕事で埋める必要はありません。

    仕事だけでなく、休みや生活も含めて、「このくらいなら続けられる」と思える仕事量を把握すること。

    それが、複数案件を一人で管理するうえで大切なことです。

    まずは、今抱えている案件を一か所に並べて、「納期」「対応予定日」「現在の状態」が見える状態を作るところから始めてみてください。

    一社への依存を減らすために取引先を増やす場合も、単純に案件数を増やせばよいわけではありません。収入の分散と仕事量のバランスについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

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