SEOで身につけた力を、取材・編集・Web制作へ持ち替える
長く、SEO記事を書く仕事をしてきました。
これまで制作してきた記事は、SEO記事を中心に3,500本以上。
検索意図を考える。
構成を作る。
必要な情報を調べる。
わかりやすい順番に整理する。
クライアントの意図に合わせて、文章として形にする。
何年も繰り返しているうちに、そうした作業にはかなり慣れました。
一方で、生成AIが当たり前に使われるようになった今、SEO記事を大量に書くことだけを仕事の中心にし続けるつもりはありません。
最近は、取材や編集、観光・地域に関わる仕事に加えて、WebデザインやWeb制作にも少しずつ仕事の範囲を広げています。
ただ、これはSEOライターだった自分を捨てて、まったく別の仕事へ移るという話ではありません。
むしろ逆です。
SEO記事を長く書いたことで身についた、
- 相手が知りたいことを考える力
- 情報を整理する力
- 伝える順番を設計する力
- 言葉にする力
- クライアントの目的を読む力
こうしたものを、そのまま別の仕事へ持っていく。
今のところ、その方が自分には自然だと感じています。
この記事では、SEO記事を書き続けてきた経験が、取材・編集・Web制作の仕事でどう役立っているのか。
そして、ひとつの職種に自分を固定せず、仕事の領域を広げ始めた理由について書いてみます。
SEOを体系的に学んだわけではなかった

私は、最初から「SEOに強いライターになろう」と思っていたわけではありません。
スクールなどで体系的にSEOを学んでから仕事を始めたわけでもありませんでした。
必要になったから調べる。
検索結果を見る。
読者が何を知りたいのか考える。
構成を作る。
記事を書く。
それを案件の中で何度も繰り返してきました。
仕事では、
- 検索意図
- キーワード
- タイトル
- 見出し構成
- 競合調査
- 内部リンク
- 情報の網羅性
- 読みやすい順番
などを考える必要があります。
でも、自分の中ではそれを「SEOの専門知識」として意識していたわけではありません。
ただ、
「この記事を読む人は何を知りたいのか」
「どこから説明すればわかりやすいのか」
「クライアントはこの記事で何をしたいのか」
を考えていただけでした。
それが仕事だったから、普通にやっていた。
そんな感覚です。
人に言われて、自分が身につけていたものに気づいた
以前、仕事で関わった人から、「SEOに詳しいから助かる」と言われたことがあります。
そのときは正直意外でした。
自分では特別なことをしている感覚がなかったからです。
検索結果を見る。
読者が知りたいことを考える。
必要な内容を整理する。
見出しを作る。
タイトルを考える。
読みやすい順番に並べる。
ずっと仕事としてやってきたことでした。
でも、何年も繰り返しているうちに、それ自体がひとつのスキルになっていたのだと思います。
自分にとって当たり前になりすぎていることは、自分では強みだと気づきにくい。
長く同じ仕事をしていると、そんなこともあります。
SEO記事で身についたのは、「文章を書く力」だけではなかった

SEOライターというと、「文章を書く人」という印象が強いかもしれません。
でも、長くやってきて感じるのは、文章そのものより、その前後でやっていることの方がほかの仕事にも使いやすいということです。
たとえば、
誰に向けて作るのかを考える。
検索する人が何に困っているのか、何を知りたくてその言葉を入力しているのかを考えます。
情報を集めて整理する。
必要な情報と、なくてもいい情報を分けます。
順番を設計する。
何から説明すると理解しやすいかを考えます。
相手の目的を読む。
読者だけではなく、記事を依頼したクライアントが何を目的としているのかも考えます。
形にする。
最後に、読める文章へまとめます。
これはSEO記事だけに必要な作業ではありません。
取材記事でも使います。
Webサイトを作るときにも使います。
誰かの話を整理するときにも使います。
商品やサービスを紹介するときにも使います。
SEO記事を書いていた頃は「記事を書く技術」だと思っていたものが、仕事を広げてみると、かなり汎用的な力だったことに気づきました。
観光や地域の仕事に興味を持った最初の理由

最初に観光や地域の仕事へ興味を持った理由は、かなり単純です。
旅行が好きだったからです。
知らない場所へ行く。
その地域について知る。
人に話を聞く。
普通に楽しそうだと思いました。
SEO記事を大量に書いていた頃は、依頼されたジャンルについて調べて書くことが中心でした。
- 金融
- 不動産
- 転職
- 美容
- エンタメ
- 法律
- 生活
- 商品紹介
- 比較記事
いろいろな分野の記事を書いたので、その経験自体はおもしろかったです。
ただ、自分が実際にその場所へ行き、人と会って、そこでしか聞けない話を記事にする仕事には、それまでとは違う面白さがありました。
実際におもしろかったのは、観光地より「人」だった

観光の仕事を始めた頃は、観光地そのものに興味がありました。
でも、実際に取材してみると、想像以上におもしろかったのは人の話でした。
その場所を誰が作っているのか。
なぜ、その仕事をしているのか。
何を大切にしているのか。
外から来た人に何を知ってほしいのか。
その地域では当たり前だけれど、外から見ると魅力的なものは何なのか。
観光記事には、もちろん基本情報も必要です。
- 営業時間
- 料金
- アクセス
- 見どころ
- 周辺情報
こうした情報は、読者が実際に訪れるために欠かせません。
ただ、それだけなら公式サイトなどでも確認できます。
取材しなければわからないのは、その奥にあるものです。
なぜここを作ったのか。
なぜ続けているのか。
何を残したいのか。
どんな人に来てほしいのか。
そういう話を聞くうちに、
「情報を書くこと」より、
「まだ文章になっていないものを聞いて、形にすること」
の方に興味が向くようになりました。
取材は、質問リストを消化する仕事ではなかった

取材をする前には、当然質問を用意します。
相手について調べます。
事業について確認します。
聞くべき内容を整理します。
ここまではAIにもかなり手伝ってもらえます。
質問案を出してもらう。
事前情報を整理する。
取材後の文字起こしを要約する。
構成のたたき台を作る。
かなり便利です。
でも、実際の取材では、準備した質問通りに進めればいいわけではありません。
話しているうちに、
「今の話、もう少し聞いた方がいいな」
と思うことがあります。
質問リストにはなかった話が、記事の中心になることもあります。
相手の表情や声の変化から、
「ここには何かありそうだ」
と感じることもあります。
本人にとっては当たり前すぎて、わざわざ説明しようと思っていなかったことが、外から見ると一番おもしろいこともあります。
取材は、答えを回収する仕事というより、
相手の中にあるものを一緒に探していく仕事
に近いのかもしれません。
私は、その部分がおもしろいと感じています。
取材記事でもSEOの経験はかなり使える

取材記事とSEO記事は、まったく別の仕事に見えるかもしれません。
でも、実際にやってみるとかなり共通点があります。
取材でいい話を聞けても、それをそのまま全部並べれば読みやすい記事になるわけではありません。
誰に読んでもらうのか。
その人は何を知りたいのか。
最初に何を伝えるのか。
どこまで基本情報を入れるのか。
どのタイミングで人物や背景の話を入れるのか。
タイトルをどうするのか。
見出しをどう並べるのか。
ここでは、SEO記事で何度もやってきた「読者から逆算する感覚」がかなり役立ちます。
検索を意識する記事なら、
- どんな言葉で探されるのか
- どんな情報が必要なのか
- どんなタイトルなら内容が伝わるのか
も考えます。
実際、企画から関わった記事が検索上位に入ることもありました。
もちろん、検索順位は記事を書いた人だけで決まるものではありません。
媒体そのものの力やテーマ、競合状況、公開後の運用など、さまざまな要素があります。
それでも、検索意図を考えて情報を組み立てる感覚が、取材記事にも使えることは実感しています。
SEOを捨てて取材へ移ったのではなく、
SEOで身につけたものを取材へ持っていった。
その感覚の方が近いです。
「編集者になる」というより、相手の頭の中を整理する

最近は「編集」という言葉を使うこともあります。
ただ、私は大手メディアで長く編集者をしてきたわけではありません。
編集のプロとして何でもできます、と言うつもりもありません。
それでも、仕事の中で少しずつ増えていることがあります。
人の話を聞く。
何を伝えたいのか整理する。
必要な情報を選ぶ。
文章にする。
ページの構成を考える。
見せ方を考える。
読む人が迷わない導線を考える。
これらをまとめてやっていると、
「ライター」という言葉だけでは説明しづらい仕事になってきました。
文章を書く前に、相手の頭の中を一緒に整理している時間の方が長いこともあります。
まだ言葉になっていないものを聞く。
散らばっている情報をまとめる。
何を一番伝えるべきなのか考える。
必要なら文章以外の形も考える。
私は今、この部分にかなり興味があります。
Web制作を始めても、やっていることは意外と似ていた
知り合いから頼まれて、手探りで始めたことがきっかけで、WebデザインやWeb制作にも携わっています。
最初は文章を書く仕事とはかなり違うものだと思っていました。
もちろん、実際には覚えることがたくさんあります。
デザイン。
レイアウト。
WordPress。
HTMLやCSS。
サイト全体の構造。
文章を書くだけでは必要なかった知識もあります。
ただ、実際にサイトを作ってみると、
「これ、考え方の一部はSEO記事とかなり似ているな」
と感じました。
このサイトは誰が見るのか。
最初に何を見せるのか。
どの情報をどこに置くのか。
何を目立たせるのか。
次にどこへ進んでもらうのか。
どんな言葉なら迷わないのか。
情報の優先順位はどうするのか。
SEO記事なら、見出しと文章でそれを考えていました。
Webサイトでは、文章だけではなく、ページ構成やデザイン、導線まで含めて考えます。
扱う範囲は広がりました。
でも根っこには、
「相手に何を、どんな順番で届けるか」
があります。
これは、長く記事を書いてきた経験とかなりつながっています。
文章が載る「場所」まで考えられるのはおもしろい

ライターの仕事では、文章を書いたところで仕事が終わることも多くあります。
納品した記事がどんなデザインで掲載されるのか。
サイトのどこに置かれるのか。
その先で読者に何をしてほしいのか。
そこまでは関わらない案件も少なくありませんでした。
Web制作をしていると、その「文章の外側」まで考えます。
サイト全体を見て、
この説明はトップに必要なのか。
これは下層ページでいいのか。
ここにボタンが必要なのか。
この言葉では意味が伝わりにくいのではないか。
そもそも、このページは必要なのか。
そんなことを考えます。
文章だけを作っていた頃より、見る範囲が広くなりました。
その分難しいですが、かなりおもしろい。
文章を書く力を捨てるのではなく、
文章が使われる場所まで作れるようになる。
これも、仕事を広げるひとつの方向なのだと思っています。
ひとつの肩書きに全部収めなくてもいいと思うようになった
以前は、
「私はWebライターです」
で、かなり説明できました。
今は少し難しくなっています。
SEO記事を書くこともあります。
取材もします。
人の話を整理して記事にします。
Webサイトの文章を考えることもあります。
サイトそのものを作ることもあります。
自分のメディアも運営しています。
これを全部きれいに説明できる肩書きが必要なのか、と考えることもあります。
でも最近は、無理に決めなくてもいいのではと思うようになりました。
何屋かを決めてから仕事をするのではなく、
今まで身につけたものを使って、できる仕事を少しずつ増やす。
その結果として、仕事の形が変わっていけばいい。
今のところは、そのくらいの感覚です。
SEOを離れるのではなく、土台として持っていく
SEO記事を大量に書いていた頃と、今やっている仕事はかなり違います。
でも、完全に別物ではありません。
SEOで身につけた、
- 相手が何を知りたいのか考える
- 情報を探す
- 整理する
- 優先順位をつける
- 順番を設計する
- わかる言葉にする
- 目的に合わせて成果物を作る
という力は、今でもかなり使っています。
取材でも使う。
編集でも使う。
Web制作でも使う。
自分のメディアを作るときにも使います。
だから私は、SEOライターだった期間を「古いキャリア」として切り離すつもりはありません。
仕事の形が変わっても、そこで身につけたものは持っていけます。
むしろ、長くひとつの仕事をしてきた人ほど、
次に何をゼロから始めるかではなく、今持っているものをどこへ持っていくか
を考えてもいいのかもしれません。
量産から、関係性のある仕事へ
SEO記事を大量に書いていた頃は、本数で仕事を考えることが多くありました。
何本書くか。
何文字書くか。
いつまでに納品するか。
もちろん、クライアントとの関係性はあります。
長く付き合ったクライアントもいます。
信頼して任せてもらえた仕事もあります。
それでも成果物の中心は「記事」でした。
取材やWeb制作では、少し関係性が変わります。
相手から話を聞く。
何を伝えたいのか考える。
背景を知る。
必要なら何度も確認する。
文章だけでなく、見せ方まで一緒に考える。
誰かの事業や活動そのものに、少し近い位置で関わることになります。
その分、簡単ではありません。
調整も必要です。
事前準備も増えます。
正解がひとつではないことも多いです。
でも、
「なぜ自分がこの仕事に関わるのか」
を感じやすくなりました。
今は、そういう仕事を少しずつ増やしたいと思っています。
書く仕事を捨てずに、仕事の範囲を広げていく
これからも文章は書くと思います。
SEOも使います。
AIも使います。
ただ、「文章を書く人」だけに自分を固定するつもりはありません。
聞く。
整理する。
編集する。
構成を考える。
デザインする。
Webサイトを作る。
届け方を考える。
自分のメディアを育てる。
そういうものを少しずつ組み合わせていきたいと思っています。
SEO記事を3,500本以上書いてきた経験は、そのための土台です。
過去の仕事を捨てて別の仕事へ移るのではなく、
そこで得た力を、次の仕事へ持っていく。
その方が、自分にはしっくりきます。
まとめ|今までの仕事を捨てなくても、次へ進める
生成AIが広がり、書く仕事の環境はかなり変わりました。
だからといって、これまでやってきたことが全部無駄になるわけではありません。
SEO記事を書いたことで身についたものがあります。
読者を考える力。
情報を整理する力。
構成する力。
言葉にする力。
相手の目的を読む力。
仕事として成果物を作る力。
私は今、それらを取材や編集、Web制作へ持っていこうとしています。
観光や地域の現場で人に話を聞く。
まだ言葉になっていないものを整理する。
文章にする。
必要ならWebサイトまで作る。
どこまで広がるのかは、まだわかりません。
でも、一度身につけたものを持ったまま仕事を広げられることは、少しずつわかってきました。
これまでの仕事を捨てて、ゼロから別人になる必要はない。
今までやってきたことを土台にして、次の仕事へ少しずつ持ち替えていけばいい。
それも、ひとり仕事を再設計する方法のひとつだと思っています。
